こんにちは!
食めぐ編集長の松林です。
「食べれるのに毎日大量に捨てられているもの」
何か分かりますか?
答えは
「おから」です。
おからは大豆から豆腐を製造する過程で、豆乳を絞った際の”搾りかす”。
「おから」は栄養価も高く、ひとの身体には必要不可欠な栄養素がたくさん!カルシウムも含んでおり、たんぱく質や炭水化物、カリウムにも富んだ食材です。
食物繊維はごぼうの約2倍、おからの食物繊維は水に大変溶けにくいもの。腸のぜん動運動を促してくれるので便秘の解消にもなり、大腸ガンの予防にもつながります。
さて、どうして「おから」はこんなに食べる機会が少ないのでしょう?
おからは水分が多いため、品質の劣化が早く流通させるのが困難。
これが世界中で多くのおからが廃棄されている理由です。
そこで、
生おからを乾燥・粉砕することで日持ちが可能!
これが
今、大流行している
”おからパウダー”
まさに食品ロスの救世主!
どんな経緯でこんな素敵な商品が生まれたのだろうと、キッコーマン”おからパウダー”のパッケージ裏面を見ると、おから料理研究家の高橋典子「NIPPONおからプロジェクト」さんの紹介。
今回、農林水産省関東農政局で食育を担当している鶴岡さん(右)と一緒に高橋典子先生(中)を取材させていただきました。(左は編集部員の石垣です)
藤岡弘さんプロデュースの藤岡コーヒーを飲みながら…☕️
高橋さんが作ったおからパウンドケーキ。
これにおからが❓ビックリするぐらいしっとりしていて美味しいケーキでした😍
まさにいくつでも食べたいパウンドケーキ!
*「NIPPONおからプロジェクト」とは
「NIPPONおからプロジェクト」は高橋典子先生が発起人となり、豆腐や豆乳を生産する際に大量にできる「おから」を、もったいないという視点に加えて、栄養成分的に大変に優れた食材として、また健康的なダイエットの食材として、優しい味わいの日本発信の食材として、多くの方に活用していただくために2015年に発足したプロジェクトです。今現在、NONNON cooking salonをはじめ、地方自治体や小学校から大学など教育機関での食育講座、食品メーカー・小売での商品開発の協力、飲食店でのメニュー開発、自治体や各種団体、企業内での講演やセミナーなど、幅広い形で普及活動をしています。
-おからを広めたいと思ったきっかけ。
東京世田谷区上野毛にある「豆冨 にとう」さんで作られた”おから”に一目惚れしちゃったんです。こんなに美しくて、美味しいおからなのに、捨てなければならないなんて、あまりにももったいない!と。
これをきっかけに世界中で捨てられている”おから”に興味を持つようになりました。
2010年5月に文化出版局さんより「おから、豆腐、豆乳、野菜のお菓子」を出版させていただいたところ、すぐに増刷という反響をいただき、これは「もう私がやるしかない(笑)」と。
(にとうさんなのですが、悲しいことに、昨年の末日で閉店させてしまいました。本当に残念でなりません・・・。)
自分が主宰している料理教室の生徒に「おからを使って料理を作りたいが手に入らない」という声をたくさんいただくようになったんです。街のお豆腐屋さんが、毎年のように1000軒単位で減り続けていて、昭和40年代には全国に5万軒以上あったお豆腐屋さんが、今では全国で7000軒ほどに減少してしまいました。
これでは確かに手に入るものも入りませんよね。
ちょうど2010年頃から”生おから”を乾燥して粉砕した「おからパウダー」が少しづつ出回っていましたので、生おからが手に入らない方には”おからパウダー”をお勧めしていたんです。
ところが
問題発生。。
実はおからパウダーにもすごく品質のバラツキがあったんです。
おからは生成された直後から、すぐに土壌菌が発生するため、乾燥させるまでに時間をかけるとすぐに劣化してしまいます。
当時は専用の乾燥機械が限られていて、機械にかける前の生のおからの品質管理がきちんとされていないものも一部にあったようで、一概におからパウダーといっても、オススメできないようなものも市場に出回っていることがわかったのです。
「生おからは手に入りにくい」
「おからパウダーも商品によって品質のバラツキが激しい」
こんな現状では、おからの魅力をたくさんの方に知っていただくのは難しいと、頭を抱えて悩んだいたところ、1つの方法を思いついたんです!
豆乳トップシェアのキッコーマンさんにおからパウダーを商品化してもらえないか。醤油を始め、日本の食文化を作ってきたキッコーマンさんなら品質も間違いない!
「キッコーマンさんであれば、豆乳を作る過程で毎日たくさんの生おからがある」
思い立ったらじっとしていられない性格ですので(笑)、すぐにキッコーマンさんにお伺いし、おからパウダーの製造・小売を切実にお願いしました。私の突然のお願いにも、とても熱心に話を聞いてくださり、商品化の話が具体的になりました。
何年も研究を重ねていただき
今年の8月27日に発売された商品がこちらです。
こういった経緯もあり、「キッコーマン 豆乳おからパウダー」のパッケージのレシピ監修を務めさせていただき、「NIPPONおからプロジェクトの活動を応援しています」と嬉しいメッセージとともにパンケーキのレシピが掲載されました。
-おからパウダー大ブームですね!
肝心なおからパウダー、ずっと品切れの状態で、どこで買えるの?と言われ続けております。今月に入って少しずつ各社から出荷されているようですが、店頭に並ぶとすぐに完売してしまう状態のようで、すぐにどこでも買えるまでにはまだ少し時間がかかりそうです・・・
もちろんこのブームは嬉しいのですが、これはTVの「おからパウダーダイエット」の影響がすごく大きいと感じています。気になるのがその活用の仕方なんです。ご飯にかけるとかコーヒーに入れるなどの使い方が紹介されていますが、もっとおからを美味しく食べられるお料理も多くの方に知っていただきたいと感じています。ダイエットだけではなく、普通の食材の一つとして、食卓に根付いていってほしいという思いが強くあります。
-ダイエットにオススメのおからパウダーの使い方は?
水戻ししたおからパウダーを、お米の3分の1程度の量を入れて、一緒に炊き上げたおから入りご飯にして召し上がっていただくのがいいと思います。
〜小麦粉の代わりとして〜
油の吸収率が小麦粉よりも低いので、小麦粉の代わりとして使ってもらうのがオススメです!パンケーキの生地やカレーのとろみ付けに使えば、グルテンフリーの献立づくりに役立てられます。
クッキーやケーキに使えば、カロリーと糖分が抑えられるだけでなく、食物繊維とカルシウムが摂取できるので、年齢や性別、ライフスタイル問わず健康の維持に役立ちます👌
揚げ物に使えば、油の吸収率が小麦粉よりも少ないので低脂質の食事が美味しく作れますし、ハンバーク、お好み焼きなどおからパウダーを美味しく食べるダイエット方法はたくさん!
タラモサラダのじゃがいもに加えてもらうのも美味しいですよ!
2015年出版の「これがおから?なDailyレシピ」(文化出版局刊)
おからのアレンジレシピがたくさん載っています。
-最近作ったおから料理はどういった物が
実は昨年のクリスマスメニューも”おからのフルコース”を作りました!
こんなクリスマスのご馳走も、実はおからをたっぷり使っています。おからのタラモサラタ、おから入りのブルーチーズパイ、天使の海老の頭のおから揚げ、おからパウダーを使って焼いたデザートのケーキ、フォーレノワール。来年もたくさん美味しいおからの料理をお伝えしていきたいと思っています!
さらなる”おから”の推進には管理栄養士の協力が欠かせない!
おからは非常に栄養素が豊富ですが、劣化の早さから病院・給食などの集団調理の現場の食材として今まであまり使われてきていませんでしたが、おからパウダーなら管理や保存も容易なので、生のおからとは違ってとても使いやすくなっています。まだまだ現場で”おからパウダー”を採用するのが少ないのが現状です。集団調理の現場にいらっしゃる管理栄養士さんに”おからパウダー”を深く知ってもらうことで、もっと活用の機会を増やしていけると感じています。
東京農業大学応用生物科学部栄養科学科
フードマネジメント研究室
鈴野弘子教授 秋山聡子助教のご指導のもと、おからについての研究が数年前から進められています。写真は、おからチームの学生のみなさん。若い方たちに、こうしておからについて理解を深めていただくことは、将来的にとても有意義なことで、ありがたく思います。今後、学会での発表なども予定されていて、成果をとても楽しみにしています!
食めぐ編集部の管理栄養士さんの影響力も大きいと思いますので是非一緒に協力してください!
3人が着用しているこちらのエプロンは
おからで麻の生地を「のこり染」で染め上げたエプロンです(^^)
岐阜県大垣市にある布具ブランド『KURAKIN』さんに作って頂いたこちらのエプロン、「おから染」という特徴のほかに、サイズも長さが2種、幅が3種、色も3色から選べて、胸の部分に好きなイニシャルを入れられる「セミオーダー」というのもポイント。なかなか合うサイズのものがない……という悩みを解消し、自分だけの特別なエプロンを作っていただくことができるのです。
胸元には布・ビーズ作家のKYOKOさんがデザインした可憐な刺繍が入り、とてもエレガントなエプロンになっています。胸のイニシャルは好きな文字を指定できるので、贈り物などにも喜ばれると思います。
麻の素材は、シワになってアイロンが面倒……と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心を! 『KURAKIN』さんが染めたリネンは、洗濯機で洗ってパンパンと干せば、ノーアイロンでも問題なく使えます。食べるだけではない「おから」の活用法。こんなにオシャレなエプロンになるなんて、着用した時は嬉しくて感動してしまいました。(感想:石垣)
こちらのハンドメイドマーケットで手に入ります!minne
これから食めぐ編集部でも高橋さんと協力して「おから」の魅力をたくさんの方に伝えていきます!
編集後記!
「捨てる食材」で日本を元気に!
高橋先生は、ただ本を書いたりレシピを考えたりするだけではなく、実際に飲食店・自治体といった「人」と携わりながら、活動されていることにすごく親近感を感じました。
自由が丘の老舗フレンチレストラン「プティ・マルシェ」にて、前菜からデザートまですべてにおからを使った料理をフルコースで楽しんでいただくイベント「OKARAナイト」を、石島邦彦オーナーシェフと共催。
おからを広めたい
そして
「人を笑顔にしたい」
高橋先生のとても温かな人柄が伝わる取材になりました。
次回の高橋先生の記事も楽しみにお待ちくださいね!